バックギャモンは戦略と運が融合した古典的ボードゲームで、認知機能向上から社会的スキル強化まで、多岐にわたるリハビリ効果が期待できます。
本記事ではバックギャモンのルールや作業療法に用いることでの期待できる効果について解説します。
バックギャモンとは?
バックギャモンは、二人で遊ぶボードゲームの一つで、数千年前に起源を持ちます。
このゲームは、プレイヤーがそれぞれの駒(またはチェッカー)をボード上で移動させ、最終的には全ての駒をボードから取り除くことを目指します。
プレイヤーはサイコロを振って駒を移動させ、ゲームの戦略性は主にサイコロの結果と、それに基づいて選択する移動の組み合わせによって生まれます。
バックギャモンのボードは、24個の三角形(ポイントと呼ばれる)で構成され、これらは4つのグループ(クォドラント)に分けられています。
各プレイヤーは15個の駒を持ち、これらを特定の規則に従って前進させ、最終的には自分のホームボードにある「ベアリングオフ」エリアに全ての駒を集めることを目指します。

バックギャモンのルール
バックギャモンは2人でプレイするボードゲームで、15の駒を持つプレイヤーがそれぞれ自分のホームボードに全ての駒を安全に戻し、そこから盤外に出すことを目指します。
バックギャモンの主なルールとして、ここでは…
- セットアップ
- 目的
- ダイスと移動
- ヒットとバー
- ベアリングオフ
…についてそれぞれ解説します。
セットアップ
バックギャモンのボードは24の三角形、通称「ポイント」から成り立っています。
これらは4つの領域に分かれており、各プレイヤーに2つずつのホームボードとアウターボードがあります。
ゲーム開始時、プレイヤーは特定の配置で駒を配置します。
これにより、戦略的な思考と最初の数手が重要になってきます。
セットアップは、プレイするたびに同じで、プレイヤーは自分の駒を相手のホームボードからスタートさせ、自分のホームボードに移動させていきます。
目的
バックギャモンの目的は、自分の全ての駒を自分のホームボードに移動させ、その後盤外に出すことです。
全ての駒を最初に盤外に出したプレイヤーが勝者となります。
この過程で、戦略、リスク管理、そして時には運もプレイヤーの勝利に大きく影響します。
ダイスと移動
プレイヤーはターンごとに2つのサイコロを振り、出た目に応じて駒を移動させます。
駒は前進のみ可能で、相手の駒が2つ以上あるポイントには進入できません。
サイコロの目が同じ、つまりダブルが出た場合は、その数値で4回移動することができます。
駒の移動は非常に戦略的で、相手の単独駒(ブロット)を打つことでゲームの流れを変えることができます。
ヒットとバー
相手の単独駒を自分の駒で移動先のポイントに移動させることで「ヒット」となり、その駒はバー(ボードの中央部分)に置かれます。
ヒットされたプレイヤーは、バーにある駒を再びボード上に入れなければなりません。
これをするためには、相手のホームボードのポイントに対応するサイコロの目を振る必要があり、それが可能な場合のみ他の動きを行うことができます。
ベアリングオフ
全ての駒を自分のホームボードに集めた後、プレイヤーは「ベアリングオフ」、つまり駒をボードから外す作業を開始できます。
これはサイコロの目に応じて行われ、特定のポイントにある駒を外すことができます。
もしサイコロの目に対応する駒がなければ、より高い数字の駒を移動させることができます。全ての駒を最初に外したプレイヤーが勝者です。

バックギャモン で期待できるリハビリ効果について
バックギャモンは単に楽しいゲームであるだけでなく、さまざまなリハビリ効果が期待できるアクティビティでもあります。
ここでは、その期待できる効果として…
- 認知機能の向上
- 手指の運動
- 社会的スキルの向上
- ストレスの軽減
- 持続可能な趣味の開発
…があげられます。
それぞれ解説します。
認知機能の向上
バックギャモンは戦略的思考と意思決定の練習になります。
プレイヤーは常に相手の動きを予測し、最適な手を選択する必要があります。
これは、問題解決能力を高めるだけでなく、注意力や集中力の向上にも寄与します。
認知症の予防や、脳の老化を遅らせる効果が期待できるため、高齢者のリハビリテーションに特に適しています。
手指の運動
バックギャモンは駒の移動やサイコロのロールなど、細かな手指の動きを伴います。
これにより、手の柔軟性や協調性を高めることができます。
特に、脳卒中後の患者や手の機能を改善したい人にとって、適度な物理的活動として機能します。
遊びながら自然と手指のリハビリができるため、長期的な継続が期待できます。
社会的スキルの向上
バックギャモンは2人でプレイするゲームであり、相手とのコミュニケーションが自然と生まれます。
これにより、社会的スキルやコミュニケーション能力が向上することが期待できます。
また、競争と協力のバランスを学びながら、相手を尊重する態度や勝敗を受け入れる精神力も養えます。
孤独感や社会的孤立を感じがちな高齢者や障害を持つ人々にとって、社会参加の一形態としても有効です。
ストレスの軽減
ゲームをプレイすることは、ストレスの軽減にも効果的です。
バックギャモンはその没入感と適度な緊張感が、日常の悩みから一時的に離れさせてくれます。
また、勝敗に対する期待と結果がもたらす達成感や喜びは、ポジティブな気持ちを促進します。
定期的にプレイすることで、精神的なリラックス効果を得られ、うつ病や不安障害のリハビリにも役立つと考えられます。
持続可能な趣味の開発
バックギャモンは、年齢や身体的な能力に関係なく楽しめるゲームです。
このゲームを通じて、新たな趣味や関心を開発することができます。
趣味は個人の自尊心を高め、生活に意味と目的をもたらす重要な要素です。
特に退職後や障害を持つ人々にとって、自分の能力を再発見し、新しいコミュニティに参加する機会を提供します。
