カルカソンヌはシンプルながらも奥が深い戦略的ボードゲームの一つです。
本記事ではカルカソンヌによって期待できるリハビリ効果について解説します。
カルカソンヌとは?
カルカソンヌは、プレイヤーがタイルを配置して中世の風景を作り上げ、道、都市、修道院、草地などの特定の地形上で支配権を争う、戦略的ボードゲームです。
プレイヤーは各ターンに1枚のタイルを引き、それを既に置かれているタイルに合わせて配置します。
その後、プレイヤーは自分のフォロワー(通称「ミープル」)をそのタイル上の特定の地形に配置して、そのエリアの支配者となる権利を主張します。

カルカソンヌのルール
カルカソンヌのルールについてですが、ここでは…
- ゲームの準備
- タイルを引く
- フォロワーを配置する
- スコアを計算する
- ゲームの終了と最終スコア
…というステップにわけて簡単に解説します。
ゲームの準備
ゲームを始める前に、全てのタイルを裏向きにして山積みにします。
プレイヤーは各自のフォロワー(ミープル)を受け取ります。
ゲームは、既に配置されているスタートタイルから始めます。
プレイヤーはランダムにターンの順番を決め、最初のプレイヤーからゲームを開始します。
この準備段階では、各プレイヤーが戦略を練り、自分のフォロワーをいかに効果的に配置するかを考え始めます。
タイルを引く
プレイヤーは自分のターンの始めにタイル山から1枚のタイルを引きます。
引いたタイルは、既に配置されているタイルに合わせて配置する必要があります。
タイルは道が道と、都市が都市と、草地が草地と接するように置かなければなりません。
この時点で戦略的な配置が重要になり、ゲームの進行に大きく影響します。
フォロワーを配置する
タイルを配置した後、プレイヤーはそのタイル上の任意の未占領の地形(都市、道、修道院、草地)に自分のフォロワーを1体配置することができます。
フォロワーを配置することで、その地形の支配者となり、その地形が完成した時にポイントを得ることができます。
ただし、既に他のプレイヤーが支配している地形にはフォロワーを配置できません。
スコアを計算する
タイル配置によって都市、道、または修道院が完成した場合、その地形の支配者はポイントを獲得します。
都市は完成するごとにタイル1枚につき2ポイント、道は1ポイント、修道院は周囲の8タイルすべてが埋まると9ポイントを得ます。
このポイント計算はゲームの進行中に何度も行われ、戦略の選択に影響を与えます。
ゲームの終了と最終スコア
ゲームは全てのタイルが配置された時に終了します。
その時点で、未完成の地形でもポイントが計算されますが、得られるポイントは完成した時よりも少なくなります。
さらに、ゲーム終了時には草地の支配によるポイントも計算されます。
草地は、それに接している完成した都市の数に応じてポイントが得られます。
最終的に最も多くのポイントを獲得したプレイヤーが勝者となります。

カルカソンヌで期待できるリハビリ効果について
カルカソンヌをリハビリに応用することで、患者が得られる可能性のあるリハビリ効果は多岐にわたります。
期待できるその効果として、ここでは…
- 細かい手の動きの改善
- 認知機能の向上
- 社会的スキルの向上
- ストレス軽減と精神的ウェルビーイング
…について解説します。
細かい手の動きの改善
カルカソンヌでタイルを扱う行為は、手の細かい動きや手指の協調性を鍛える絶好の機会です。
プレイヤーはタイルをピックアップし、適切な場所に配置する必要があり、この一連の動作は手の動きの正確さと敏捷性を向上させます。
また、フォロワー(ミープル)を配置する際にも同様の細かな手の動きが求められ、繰り返し行うことで、手の微細な動作制御を促進し、手の筋力を増加させることができます。
これは、手術後のリハビリや、手指の機能障害を持つ人々にとって、日常生活動作(ADL)の向上に貢献します。
認知機能の向上
カルカソンヌは戦略的な思考を必要とするゲームであり、プレイヤーは常に次の一手を計画し、相手の動きを予測する必要があります。
このプロセスは、問題解決能力、計画能力、注意力、記憶力など、複数の認知機能を同時に刺激します。
ゲーム中にプレイヤーが行う意思決定は、脳の前頭葉を活性化させ、認知機能の維持または改善に寄与します。
特に、年齢や病気によって認知機能が低下した人々にとって、楽しみながら認知スキルを鍛える方法として有効です。
社会的スキルの向上
カルカソンヌは複数のプレイヤーで遊ぶゲームであるため、コミュニケーションや協力、時には競争を促します。
この社会的な相互作用は、プレイヤーが他者との関係を築くためのスキル、すなわち聞き手としての能力、順番を待つ忍耐力、勝敗を受け入れる柔軟性などを養います。
また、共有のゲーム体験は、孤独感や社会的隔離感を軽減し、プレイヤー間の絆を深めることができます。
リハビリの文脈では、これらの社会的スキルは患者さんが社会に再び積極的に参加するための重要な要素となります。
ストレス軽減と精神的ウェルビーイング
カルカソンヌをプレイすることは、楽しみと達成感を提供し、ストレスや不安を軽減する効果があります。
ゲームの没入感は一時的に現実の悩みから離れさせ、リラックスした状態を促します。
また、ゲームを通じて得られる小さな成功体験は自尊心を高め、リハビリ過程で直面する挑戦に対する積極的な態度を育みます。
この精神的ウェルビーイングの向上は、リハビリの動機づけを強化し、患者さんが治療プログラムに対してより前向きに取り組むようになることを助けます。
