ドミニオン

ドミニオン – 作業療法で期待できるリハビリ効果について game
  • タイトル:ドミニオン(Dominion)
  • メーカー/出版社:海外版:Rio Grande Games・日本語版:ホビージャパン
  • 発売年:海外初版:2008年・日本語版:2009年
  • プレイ人数:2~4人(追加の基本カードセットがあれば最大6人まで可能)
  • プレイ時間:約30分(2人なら30~40分、4人だと最大1時間程度)
  • 対象年齢:8歳以上
  • 価格帯:5,000円前後
  • 入手性:容易

概要

プレイヤーは自分のデッキを強化しながらカードを購入し、勝利点カードを集めて最終的に最も多くの勝利点を獲得することを目指すデッキ構築型カードゲームです。

タイプ

  • デッキ構築型カードゲーム
  • 拡大再生産

カテゴリ

  • ボードゲーム
  • カードゲーム
  • 戦略ゲーム
  • ファミリーゲーム

ゲームメカニクス

ドミニオンはデッキ構築型カードゲームの元祖で、プレイヤーは自分のデッキを強化しながら、アクションや財宝カードを購入し、手札を管理します。毎回異なる王国カードセットでリプレイ性が高く、カードの組み合わせ(コンボ)や購入のタイミングが勝敗を左右します。勝利点カードを集めることが目的ですが、これらはデッキを圧迫するため、効率的なデッキ構築とバランス感覚が求められます

  • デッキ構築
  • バッグビルディング
  • プールビルディング
  • 遅延購入
  • ハンドマネージメント
  • オープンドラフト
  • テイクザット
  • 可変セットアップ

作業療法的視点

ドミニオンは作業療法の現場で、認知機能の向上や手指の細かい動きの改善、社会的スキルの向上、注意力・集中力の強化に役立ちます。戦略的思考や計画力、意思決定力を養い、カード操作を通じて微細運動能力も刺激されます。複数人でのプレイはコミュニケーション力や対人関係構築にも効果的です。

  • 計画性
  • 戦略的思考
  • 意思決定力
  • 記憶力
  • コミュニケーション力
  • 対人関係構築力
  • 注意力
  • 問題解決能力
  • 感情コントロール
  • 自己表現
  • 巧緻能力
  • 協調性能力


ドミニオンのリハビリ効果について
  • 遂行機能の訓練
  • 注意力の持続と選択
  • 記憶力・ワーキングメモリの活性化
  • 計画力と柔軟な思考の促進
  • 社会的交流とコミュニケーションの機会
  • 意欲の喚起と自己効力感の向上
  • 多世代交流や世代間リハビリでの活用可能性
  • ゲーミフィケーションによる動機づけ
  1. 遂行機能の訓練
    ドミニオンは、プレイヤーが毎ターン「何をするか」「どの順で行うか」「結果として何が得られるか」を常に考えながら行動するゲームです。
    このプロセスは、作業療法で重視される遂行機能(目標設定・計画・実行・評価)を自然な形で反復的に訓練することにつながります。
    アクションカードの効果や購入の選択肢が毎回異なるため、思考の柔軟性や論理的な予測力も必要となります。
    また、ターンごとの手札は毎回異なるため、状況判断力を都度リセットしながら更新する力も育まれます。
    このように、ドミニオンは遂行機能に必要な複数の認知過程を、楽しみながら総合的に活性化できる教材となり得ます。
  2. 注意力の持続と選択
    ドミニオンでは、自分のターン中に使用するカードの順番や効果を的確に判断しながら処理する必要があります。
    そのため、プレイ中は集中力の維持が求められ、注意力の持続に対する自然なトレーニングとなります。
    また、サプライの中から何を買うか、どのカードが相手にとって脅威かなど、多くの情報から重要な点を選択する注意の選択性も必要です。
    とくに、アクションカード同士のコンボを意識するには、手札・場・デッキ全体を意識する広範な注意配分が求められます。
    このような多様な注意過程に関わるゲーム構造は、注意障害や高次脳機能障害への支援にも応用できる可能性があります。
  3. 記憶力・ワーキングメモリの活性化
    ドミニオンでは、手札にあるカードの効果や購入済みのカードの内容を覚えておくことが有利なプレイに直結します。
    また、自分のデッキに今どのカードがどれくらい入っているか、次にどのカードが引けるかといった記憶の保持も必要になります。
    このように、一時的に情報を保持しながら同時に判断を下すという、ワーキングメモリの働きがゲーム中頻繁に使われます。
    さらに、過去のプレイの結果をふまえて、今後の戦略を微調整していくという「エピソード記憶の応用」も求められます。
    そのため、ドミニオンを繰り返しプレイすることで、自然に記憶保持・更新・活用の一連の流れが鍛えられる可能性があります。
  4. 計画力と柔軟な思考の促進
    ドミニオンでは、どのカードをどのタイミングで購入するかという中長期的な視点に基づく計画性が求められます。
    たとえば、デッキ圧縮を進めてから高価なカードを狙う、あるいは序盤にアクション基盤を作って後半に爆発力を出すなど、複数の戦略があります。
    一方で、相手の行動や山札の構成、サプライの枯渇状況などに応じて、計画を柔軟に修正する力も重要になります。
    このように、静的な計画と動的な対応のバランスを取る必要があるゲーム構造は、柔軟思考と戦略的意思決定の訓練に適しています。
    結果として、実生活における「計画してもうまくいかないときの再調整力」にも通じるリハビリ的効果が期待されます。
  5. 社会的交流とコミュニケーションの機会
    ドミニオンは対面でプレイするカードゲームであり、自然と他者との交流や会話が生まれる構造を持っています。
    ゲーム中は直接的な会話が少なくても、プレイ後の振り返りや戦術談義などを通じて、プレイヤー間のコミュニケーションが活性化されます。
    また、軽い対話や冗談、相手のプレイへのリアクションなどが生まれることで、場に柔らかな一体感が生まれやすくなります。
    高齢者施設やデイケアなどでの導入により、孤立しがちな方々にとって、他者と関わるきっかけとして有効に機能することが期待されます。
    このような環境下では、対人関係の維持や社会的スキルの回復・強化に資するツールとして、ドミニオンは優れた可能性を持っています。
  6. 意欲の喚起と自己効力感の向上
    ドミニオンは運要素が少なく、自分の選択や工夫が結果に結びつきやすいゲームです。
    そのため、思考と行動によって「勝てた」「うまく回った」という実感を得やすく、達成感を感じやすい特性があります。
    また、何度もプレイすることで上達を実感できるため、認知的・心理的リハビリにおいても意欲の維持に寄与しやすいです。
    「自分はできる」「考えることが楽しい」といったポジティブな自己評価を引き出すための支援ツールとしても有用です。
    リハビリの中で継続的に取り入れることで、内発的動機づけを高め、活動参加への前向きな姿勢を育むことができます。
  7. 多世代交流や世代間リハビリでの活用可能性
    ドミニオンはルールさえ理解すれば世代を問わず楽しめるゲームであり、年齢差のある参加者同士でも公平に競える特性があります。
    とくに、子どもや若年層のゲーマーにも人気があるため、高齢者と若者が一緒に遊ぶ「世代間交流」のツールとして有効に機能します。
    こうした多世代の交流は、単なる娯楽にとどまらず、互いの価値観や経験を尊重し合う社会性の促進にもつながります。
    さらに、ゲームという共通の活動を通じて、自然なかたちで相互理解や役割分担が生まれるため、交流のきっかけを作りやすくなります。
    このように、ドミニオンは世代を超えた関わりを生み出す“橋渡し”としても、リハビリや地域活動の現場で活用できる可能性があります。
  8. ゲーミフィケーションによる動機づけ
    ドミニオンは、自分のデッキが成長していく過程そのものが報酬となる、ゲーミフィケーション要素の強いゲームです。
    勝ち負けだけでなく、「コンボが成功した」「新しい戦略がうまくいった」など、小さな成功体験を繰り返し体感できる仕組みが組み込まれています。
    このような構造は、リハビリの継続や参加意欲を引き出すうえで非常に重要な要素となります。
    課題の提示、選択肢の自由、フィードバックの即時性といったゲーミフィケーションの基本原則が自然に備わっている点も魅力です。
    したがって、ドミニオンは「楽しさ」と「訓練」を両立できるコンテンツとして、リハビリ現場における動機づけ支援に適したツールといえます。

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