将棋は、戦略的思考や記憶力の向上から精神健康の促進まで、多方面にわたるリハビリ効果を提供するボードゲームです。
本記事では将棋の概要と期待できるリハビリ効果について解説します。
将棋とは?
将棋は、日本の伝統的なボードゲームであり、9×9マスの盤上で二人のプレイヤーが交互に駒を動かし、相手の「玉将(または王将)」を詰ませることで勝敗を決定します。
使用される駒は8種類・計20枚ずつ、合計40枚で構成され、各駒には独自の動き方と役割があり、取った駒を再び自陣で使える「持ち駒」のルールが戦略の幅を大きく広げています。
この持ち駒制度により、攻守の切り替えや一発逆転の可能性が常に存在し、他のボードゲームにはない独特の緊張感と深い駆け引きが生まれます。
将棋の起源は古代インドの「チャトランガ」にさかのぼり、日本には飛鳥~奈良時代に伝来し、平安時代から江戸時代にかけて現在の形へと整備されました。
現代においては、プロ棋士の活躍やAI将棋の進化、オンライン対局の普及などにより、多様な層が楽しめる知的エンターテインメントとして国内外で広く親しまれています。


将棋の起源
前述したように将棋の起源は、古代インドのチャトランガ(シャトランガ)というゲームにさかのぼります。
ここではさらに深堀して…
- 古代インドの「チャトランガ」誕生
- 世界への伝播と各地での変化
- 日本への伝来と伝播ルート
- 平安時代の将棋と最古の資料
- 日本独自の発展と持ち駒ルールの誕生
…という視点から解説します。
古代インドの「チャトランガ」誕生
将棋の最も有力な起源は、紀元前2000年ごろの古代インドで誕生した「チャトランガ」というボードゲームとされています。
チャトランガは主に四人でプレイされ、サイコロを使って各自の駒を進める形式をとっていました。
このゲームは、戦術性と偶然性が組み合わされた遊びで、戦争を模した内容だったことから、当時の貴族階級に広く親しまれていたといわれています。
チャトランガのルールは時代とともに変化しながら、インド国内だけでなく周辺諸国にも広がっていきました。
このチャトランガが後にチェスや将棋など、世界各地の戦略ゲームの原型になったと考えられています。
世界への伝播と各地での変化
チャトランガは誕生後、交易や文化交流を通じてアジアやヨーロッパへと伝わっていきました。
西に伝わったチャトランガはイスラム世界を経てヨーロッパへと広がり、現在の「チェス」へと進化しました。
一方、東に伝わったチャトランガは、中国で「象棋(シャンチー)」、朝鮮で「チャンギ」、タイで「マークルック」といった独自のゲームとして発展しました。
これらのゲームはいずれも盤上の戦争を模しており、チャトランガの要素を色濃く残しながらも、それぞれの文化に合わせたルール改変がなされました。
日本の将棋もその流れの中で誕生し、独自のルールや駒の形態を取り入れながら進化していきました。
日本への伝来と伝播ルート
チャトランガが日本に伝来した正確な時期やルートについては、明確な史料が少なく、いくつかの説が存在しています。
もっとも有力な仮説は、インドから中国・朝鮮半島を経由して日本に伝わったという「北回りルート説」です。
また、インドから東南アジア経由で日本に渡ったという「南回りルート説」もあり、いずれにせよ海上ルートが想定されています。
遣唐使として唐に渡った吉備真備が将棋を持ち帰ったという説もありますが、これはあくまで伝承であり、確たる物証は確認されていません。
ただし、奈良時代以降の文献や出土品から、将棋の原型が古くから日本で親しまれていたことは確かです。
平安時代の将棋と最古の資料
日本で将棋が遊ばれていた最も古い記録は、平安時代中期にさかのぼることができます。
1058年、奈良・興福寺の塔跡から出土した駒が、実際に使われていた将棋の証拠として知られています。
また、平安時代の文献『新猿楽記(しんさるがくき)』にも、貴族たちが将棋を楽しんでいた様子が記述されています。
当時の将棋は「平安将棋」と呼ばれ、現在の本将棋とは異なる駒の種類や配置、ルールを持っていました。
それでも盤上での戦術的な思考を楽しむという本質的な魅力は、現代の将棋にも通じるものがありました。
日本独自の発展と持ち駒ルールの誕生
将棋は日本に伝わった後、時代とともに独自の進化を遂げていきました。
特に大きな特徴として挙げられるのが「持ち駒」ルールであり、取った駒を自分の手番で再投入できる仕組みです。
このルールは世界の将棋型ゲームの中でも日本将棋特有のもので、15世紀から16世紀ごろに確立されたと考えられています。
持ち駒の存在により、将棋は終盤まで逆転のチャンスが残される戦略的でダイナミックなゲームへと発展しました。
現在の本将棋は、江戸時代までにほぼ完成された形となり、以降は庶民にも広く普及していきました。


日本将棋連盟について
日本将棋連盟は、将棋界の中核を担い、競技の運営から文化の普及・国際交流まで多岐にわたる役割を果たしている公益社団法人です。
ここでは…
- 概要・目的
- 組織構成と運営
- 活動拠点と本部
- 主な事業・活動内容
- 歴史的背景と発展
- 役員と著名棋士
- 関連団体
…について解説します。
概要・目的
日本将棋連盟は、1924年に設立された公益社団法人で、日本国内の将棋界を統括する中心的な団体です。
その目的は、将棋の普及と技術の向上を通じて、我が国の伝統文化の発展・継承に寄与することにあります。
さらに、将棋を通じた国際交流の推進にも力を入れており、世界規模での文化的価値の発信も重要な役割とされています。
また、プロ棋士の育成と公式戦の管理・運営も担っており、競技としての将棋の秩序と質を保つ役割を果たしています。
このように、競技・文化・国際親善の三本柱で、将棋界の成長と社会的な意義の拡充を目指している団体です。
組織構成と運営
日本将棋連盟は、会長を頂点とする理事会によって運営されており、重要な方針や事業はここで決定されます。
理事は棋士総会にて2年ごとに選出され、現役棋士・女流棋士・指導棋士などの代表者が構成メンバーとなります。
また、一般職員と専門部署も設けられ、連盟の事務やイベント運営、広報活動などを担っています。
全国には多くの支部や将棋教室があり、地域との連携を重視した草の根の普及活動も行われています。
このような体制により、組織は効率的かつ民主的に運営されており、幅広いニーズに対応できる仕組みが整っています。
活動拠点と本部
日本将棋連盟の本部は、東京都渋谷区千駄ヶ谷にある「将棋会館」で、プロ棋士の対局や事務機能の中心を担っています。
また、大阪府高槻市に「関西将棋会館」があり、関西を拠点とする棋士はこちらに所属しています。
この2つの主要拠点のほかにも、東海地方には「東海普及連合会」が設けられ、地域ごとの活動支援も行われています。
各地域には支部や将棋教室が点在し、日常的な指導やイベントを通じて将棋文化の定着を目指しています。
これらの拠点を活用し、全国規模で一貫した普及・育成・交流のネットワークが形成されています。
主な事業・活動内容
連盟の事業は多岐にわたり、プロ棋士による公式棋戦の運営はその中心的な活動のひとつです。
そのほかにも棋譜提供、専門誌や書籍の発行、解説イベント、将棋大会や指導教室の開催など、幅広いサービスを展開しています。
また、若手棋士の育成に力を入れるとともに、全国の学校や福祉施設などへの出張普及活動も行われています。
近年では国際交流やインターネットを活用した配信事業にも積極的に取り組んでおり、将棋の新たな可能性を切り拓いています。
文化団体や教育機関との連携も進んでおり、将棋を社会に活かす取り組みが年々広がっています。
歴史的背景と発展
日本将棋連盟のルーツは、江戸時代の「将棋三家(大橋家・大橋分家・伊藤家)」による家元制度にあります。
明治維新によって家元制が崩壊したのち、1924年に「東京将棋連盟」として発足し、のちに関西の棋士も合流しました。
1927年には「日本将棋連盟」に改称され、戦後は社団法人化、そして2011年には「公益社団法人」として認定されました。
この長い歴史の中で、プロ制度の確立や段位制度の整備、公式棋戦の拡充など、現代将棋の基盤が築かれてきました。
日本将棋連盟は、伝統を守りつつも新たな時代に適応しながら、将棋文化の発展をリードしてきた組織といえます。
役員と著名棋士
2023年6月より、日本将棋連盟の会長には羽生善治九段が就任しており、その知名度と実績が注目を集めています。
理事会には他にも現役のプロ棋士や女流棋士が参加しており、現場の声を反映した組織運営がなされています。
羽生会長は将棋界初の永世七冠を達成した歴史的棋士であり、そのリーダーシップにも期待が寄せられています。
また、棋士以外にも普及活動の専門家やメディア関係者など、多様な人材が連携して事業を支えています。
こうした体制により、現場と組織が連携しながら、より柔軟で実効性の高い連盟運営が行われています。
関連団体
日本将棋連盟の傘下には、女流棋士を中心とした「女流棋士会」や、アマチュアの競技普及を目的とした「アマチュア将棋連盟」が存在します。
また、子ども将棋教室やシニア向け教室など、年齢層に応じた普及団体も数多く連携しています。
プロとアマ、男女や年齢の枠を越えた交流を通じて、将棋全体のすそ野を広げる活動が積極的に行われています。
国際将棋連盟など海外との連携組織も誕生し、将棋は日本だけでなく世界に広がる文化へと進化を続けています。
これらの関連団体は、それぞれの特性を活かしながら、将棋という共通文化の発展に大きく貢献しています。


将棋のルールについて
将棋のルールとの主要項目として、ここでは…
- 駒と盤の基本構成
- 駒の動かし方と成り
- 駒の取り方と持ち駒のルール
- 勝敗の決まり方
- 反則や特殊ルール
…について解説します。
駒と盤の基本構成
将棋は、9×9の正方形の盤を使い、二人のプレイヤーが交互に手を指す対戦型のボードゲームです。
プレイヤーはそれぞれ20枚ずつ、合計40枚の駒を用いて対局します。
駒には「王将(または玉将)」「飛車」「角行」「金将」「銀将」「桂馬」「香車」「歩兵」の9種類があり、名称と動き方がすべて異なります。
盤の配置は対称で、各駒には開始時の定位置があり、そこから戦略的に展開していきます。
将棋のルール理解は、まずこの駒と盤の構成を把握することから始まります。
駒の動かし方と成り
将棋の駒は、それぞれ固有の移動範囲を持ち、縦・横・斜めなどの方向と移動距離が決まっています。
たとえば「飛車」は縦横に何マスでも動け、「角行」は斜めに何マスでも進めるという長距離型の駒です。
敵陣(相手の自陣3段)に駒が進入した際には「成る」ことができ、多くの駒は成ることで移動範囲が拡大します。
「金将」と「王将(玉将)」は成ることができませんが、他の駒は金将に似た動きを獲得することが多いです。
成るかどうかは一部任意であり、戦況や位置に応じて選択する必要があります。
駒の取り方と持ち駒のルール
将棋では、相手の駒があるマスに自分の駒を移動させると、その駒を取ることができます。
取った駒は「持ち駒」となり、次の自分の手番以降に自陣・敵陣問わず盤上の空いているマスに「打つ」ことができます。
この持ち駒ルールは将棋特有のもので、他のボードゲームにはあまり見られない革新的なシステムです。
打つ際には、その駒は「成っていない」状態(生駒)で配置され、以降は盤上の駒と同様に扱われます。
このルールによって局面の逆転や詰みの多様性が生まれ、将棋の戦略性が飛躍的に高まっています。
勝敗の決まり方
将棋における勝利条件は、相手の王将(または玉将)を「詰ませる」ことです。
詰みとは、王将の逃げ道がすべてふさがれていて、次の一手で必ず取られてしまう状態を指します。
ただし、実際の対局では「投了」と呼ばれる、自ら負けを認める宣言によって決着することが一般的です。
また、持ち時間が終了した場合の「時間切れ」や、ルール違反(禁じ手)をした場合にも敗北となります。
引き分けのルールとしては、同じ局面が繰り返される「千日手」や、双方が敵陣に入って決着がつかない「持将棋」が存在します。
反則や特殊ルール
将棋にはいくつかの反則手(禁じ手)が定められており、これを指すとその時点で負けとなることがあります。
代表的な禁じ手には、同じ縦列に歩を2枚置く「二歩」や、持ち駒の歩で直接詰ませる「打ち歩詰め」などがあります。
また、桂馬・香車・歩などの駒を次に動けない場所に打つことも反則となります。
特殊な局面では、同じ形の局面が4回繰り返された「千日手」は原則引き分けとされます。
両者が入玉(相手陣地に王将が入ること)して勝負がつかない場合には、駒の点数による判定が行われる「持将棋」というルールもあります。


将棋のレーティングについて
将棋のレーティングは、対局結果に基づいてプレイヤーの実力を数値化し、競技性や学習のモチベーションを高めるために活用される重要な指標です。
ここでは…
- レーティングとは何か
- レーティングの計算方法と仕組み
- レーティング差と勝率の関係
- レーティングと段級位の違い
- レーティングの使われ方とランキング
- レーティングの意義
…について解説します。
レーティングとは何か
将棋のレーティングとは、プレイヤーの棋力を数値で表した指標であり、対局結果によって変動する仕組みとなっています。
勝てばレーティングは上がり、負ければ下がるため、現在の実力が客観的に数値で把握できます。
この数値は、プレイヤー同士の実力差を相対的に比較するために用いられ、特にオンライン将棋サービスなどで広く導入されています。
レーティングが高いほど、強いプレイヤーと見なされることが一般的です。
競技性のある対局環境において、公平なマッチングやランキング制度を支える基盤ともいえる重要な仕組みです。
レーティングの計算方法と仕組み
将棋のレーティングは、基本的に自分と相手のレーティング差をもとに、勝敗ごとの数値変動が計算されます。
自分よりレートの高い相手に勝つと大きく上昇し、逆に低い相手に勝っても上がり幅は小さくなります。
また、格下の相手に負けた場合は大きく減少し、格上に負けた場合は下がり幅が少なくなるなど、バランスのとれた仕組みです。
この計算には「イロレーティング」と呼ばれる方式が多く採用されており、チェスや囲碁などでも広く活用されています。
プレイヤーの棋力をより正確に反映し、実力の近い相手との対局を可能にするための、合理的なシステムといえます。
レーティング差と勝率の関係
レーティング差がある程度開いている場合、それに応じて理論的な勝率の差も生じます。
たとえばレーティング差が100ポイントの場合、高い方の勝率は約64%、低い方は36%とされます。
さらに差が開くと、たとえばレーティング1700のプレイヤーが1500の相手と戦うと、約75%の確率で勝つと予測されます。
この数値は確定ではなく統計的な期待値ですが、相手の強さを把握する目安として非常に有効です。
数値で見える化することで、対局前の戦略立てや、対戦後の自己評価にも役立つ情報になります。
レーティングと段級位の違い
レーティングと段級位はどちらも棋力を示すものですが、運用方法や性質が異なります。
段級位はある種の資格のように扱われ、一度認定されると基本的に固定されることが多いです。
一方、レーティングは対局ごとに変動する動的な指標であり、常に実力の変化が反映されます。
たとえば将棋倶楽部24では、初段のレーティングはおおよそ1550〜1699と定義されています。
このように、段級位は目安として、レーティングはリアルタイムな実力評価として使い分けられています。
レーティングの使われ方とランキング
将棋のレーティングは、オンライン対局サイトやプロ棋士のランキングなど、さまざまな場面で活用されています。
たとえばプロ棋士の非公式レーティングランキングでは、対局結果に基づく棋力の数値化が行われており、注目の指標となっています。
2025年1月時点では、藤井聡太竜王名人が2128.7という圧倒的な数値でトップに立っており、平均的な棋士は1500前後とされています。
ただし、レーティングの計算方式や基準はサイトや団体によって異なるため、異なるサービス間での数値比較は適切ではありません。
それでも、レーティングは実力の見える化やモチベーション維持に有効なツールとして高く評価されています。
レーティングの意義
レーティングの最大の意義は、自分の成長や現在の実力を客観的に把握できる点にあります。
対局ごとに数値が変動するため、実力の上昇や下降を明確に意識でき、目標設定や改善意識につながります。
また、実力が近い相手とマッチングしやすくなるため、適切な難易度での対局が実現でき、継続的なモチベーションの維持にも役立ちます。
レーティングを指標として活用することで、より戦略的な学習やトレーニングが可能になります。
このように、レーティングは単なる数値以上に、将棋の楽しさや挑戦意欲を高める大切な要素となっています。


将棋順位戦について
順位戦は、プロ棋士が年間を通じてリーグ戦を戦い、名人挑戦の権利や昇降級をかけて競い合う将棋界最高峰の競技制度です。
ここでは…
- 順位戦の概要と目的
- クラス分けと昇級・降級の仕組み
- 降級点制度
- 対局方式と持ち時間
- フリークラス制度
- 順位戦の意義
- 歴史と開催時期
…について解説します。
順位戦の概要と目的
順位戦は、名人戦の挑戦者を決定するための予選に位置づけられる、将棋界で最も重要な公式棋戦の一つです。
毎日新聞社・朝日新聞社・日本将棋連盟の共催で行われ、すべてのプロ棋士が所属する5つのクラスに分かれて戦います。
A級・B級1組・B級2組・C級1組・C級2組という階層制のリーグ戦が年間を通して行われ、成績に応じて昇級・降級が決まります。
最上位のA級で優勝した棋士が名人への挑戦権を得るという構造になっており、将棋界最高位への道を開く制度です。
この順位戦は、棋士個人の名誉や生計に直結するため、年間を通じて非常に注目度の高い戦いが繰り広げられます。
クラス分けと昇級・降級の仕組み
順位戦では、実力に応じて5つのクラスに分けられ、それぞれに昇級・降級のルールが設けられています。
A級は原則10名で構成され、その優勝者が名人戦挑戦者となり、下位2名がB級1組へ降級します。
B級1組とB級2組、C級1組、C級2組は定員なしですが、それぞれ昇級者と降級者(降級点制度あり)が設定されており、昇級は上位3名、降級は成績不振者に与えられる降級点によって決まります。
成績が同じ場合は、順位が上の棋士が昇級する「頭ハネ」制度が適用され、順位がそのまま影響する仕組みになっています。
このクラス制度により、実力に基づいた公平な昇降格が行われ、将棋界全体の競争力が保たれています。
降級点制度
順位戦のB級2組以下では、成績不振による即時降級ではなく「降級点制度」が採用されています。
B級2組とC級1組では降級点が2点に達すると自動降級となり、C級2組では3点でフリークラスへ降格します。
この制度は、たまたま1年だけ成績が悪かった棋士を即座に降級させず、一定の猶予を与える仕組みとして機能しています。
ただし、降級点がつくこと自体がプレッシャーとなるため、精神的な負担は大きく、実力維持が求められます。
このルールは、競争の激しさと棋士のキャリア保護を両立させる工夫のひとつです。
対局方式と持ち時間
順位戦では、すべてのクラスにおいて持ち時間が「各6時間」とされており、1局の対局に丸1日を要することもあります。
A級およびB級1組では総当たり戦が採用され、全員が1回ずつ対戦する形式となっています。
一方、B級2組以下では抽選により10局を戦う対局スケジュールが組まれ、全員と対戦するわけではありません。
特にA級の最終局は「順位戦一斉対局」として行われ、名人挑戦者や降級者が同日に決まる緊迫の対局日として注目されます。
このように、対局方式や運営方法においても、順位戦は格式と緊張感のある舞台といえます。
フリークラス制度
C級2組で降級点が3点に達した棋士は、順位戦への参加資格を失い「フリークラス」へと移行することになります。
フリークラスでは公式戦に出場する機会が限られており、昇級による再登録か、一定の成績条件を満たさなければ現役を続けることが困難となります。
また、フリークラスには在籍年限が定められており、規定年数を超えると自動的に引退となります。
この制度は、一定の実力維持が求められるプロ棋士の世界において、秩序と更新を維持する仕組みといえます。
フリークラスでの活躍による再起の例もあることから、引退か再起かのドラマが生まれるステージでもあります。
順位戦の意義
順位戦は、プロ棋士の序列を決めるだけでなく、名人への挑戦権をかけた最も重要な戦いの場でもあります。
成績によって昇段・降段や対局料が変わるため、棋士のキャリアと生活に直結する意味を持っています。
また、緊張感のある公式戦が1年を通して継続的に行われることで、将棋界全体の活性化と注目度の向上につながっています。
順位戦は観戦者にとってもドラマ性のある対局が多く、将棋ファンの間で長く親しまれています。
棋士にとっては実力と精神力が問われる真剣勝負の舞台であり、名人を目指す者の登竜門でもあります。
歴史と開催時期
順位戦は1947年度にスタートし、それ以来、将棋界の中心的棋戦として位置づけられてきました。
現在では毎年6月に開幕し、翌年3月までの長期にわたってリーグ戦が展開されます。
戦後復興期に始まったこの制度は、棋士の地位や将棋の価値を安定させる重要な仕組みとして機能してきました。
70年以上にわたり制度を維持しつつも、運営の見直しや制度改革を行い、時代に即した形で進化を続けています。
順位戦の歴史そのものが、将棋界の進化と挑戦の軌跡を物語っているといえるでしょう。


作業療法士として知っておきたい、障害者・高齢者・地域支援に関する将棋の団体・取り組み
将棋は、障碍者や高齢者の社会参加や健康づくりを支える手段として、全国各地で多様な福祉的取り組みに活用されています。
ここでは…
- 全国視覚障害者将棋大会・日本視覚障害者団体連合
- 地域福祉センター・老人福祉センターの将棋活動
- 異世代交流型将棋イベント(彦根市北老人福祉センターなど)
- 街角将棋・地域包括支援センターの取り組み
- 障害者スポーツ団体・支援事業
…について解説します。
全国視覚障害者将棋大会・日本視覚障害者団体連合
全国視覚障害者将棋大会は、視覚障害をもつ将棋愛好家が年に一度集い、交流と技術向上を図る全国規模のイベントです。
日本視覚障害者団体連合が主催し、日本将棋連盟や厚生労働省などの後援のもと、信頼性と社会的意義の高い大会として位置づけられています。
大会では視覚障害者専用の将棋盤や駒を使用し、安全かつ平等な条件で対局が行われ、講演会や初心者教室も併設されます。
プロ棋士の参加もあり、審判や指導を通じて、競技の質と交流の深まりが促されています。
この取り組みは、視覚障害者の社会参加の促進や、将棋を通じた自尊感情の育成にも大きく貢献しています。
地域福祉センター・老人福祉センターの将棋活動
全国各地の地域福祉センターや老人福祉センターでは、将棋を通じた高齢者の健康維持や生きがいづくりの取り組みが行われています。
たとえば岡崎市では、60歳以上を対象とした将棋講座や自主サークルが開かれ、地域の高齢者が継続的に活動できる場が提供されています。
このような場では、将棋が単なる遊びではなく、認知機能の維持やコミュニケーション促進の手段として活用されています。
また、定期的な集まりを通じて孤立を防ぎ、生活のリズムを保つきっかけにもなります。
作業療法士が関わる地域支援の一環として、日常生活に根ざした非医療的アプローチとして注目されています。
異世代交流型将棋イベント(彦根市北老人福祉センターなど)
将棋を通じた異世代交流は、世代間の相互理解を深める有効な手段として、多くの自治体や福祉施設で採用されています。
彦根市北老人福祉センターでは「夏休み!将棋で異世代交流対局」が実施され、小中学生と高齢者が対局を通じて交流しています。
このようなイベントでは、ゲームをきっかけに自然な会話が生まれ、世代を越えた学びや共感が促進されます。
若い世代にとっては礼儀や集中力を学ぶ機会となり、高齢者にとっては自己肯定感や社会参加の機会となります。
異世代のつながりは、地域包括ケアの一環として、持続可能なコミュニティづくりにも貢献するものです。
街角将棋・地域包括支援センターの取り組み
「街角将棋」は、地域包括支援センターなどが主催する、誰でも気軽に参加できる交流型の将棋イベントです。
高齢者や要介護状態から卒業した方々が、再び地域とのつながりを持つ機会として注目されています。
将棋を知らない人にもルールを教える形式が多く、初心者でも参加しやすくなっており、心理的バリアの低さが特徴です。
自然な会話の中で孤立感を解消し、外出や対人接触のきっかけにもつながるため、フレイル予防にも有効です。
このような取り組みは、作業療法士による地域支援の実践例としても価値が高く、介入の一環として活用しやすい活動です。
障害者スポーツ団体・支援事業
東京都障害者スポーツ協会をはじめとする団体は、障害者のスポーツ参加の支援やネットワークづくりを推進しており、将棋もその一環に含まれています。
特に精神・身体障害のある方に対して、対人競技としての将棋は心理的・社会的なリハビリ効果をもたらします。
協会主催の交流イベントや指導者派遣などを通じて、将棋の楽しさと可能性が広く伝えられています。
企業や学校などとの連携によって、職業リハビリや地域支援活動とも接続されるケースも増えています。
将棋を用いた支援活動は、単なる趣味にとどまらず、社会参加や就労へのステップとしても注目されています。


将棋で期待できるリハビリ効果について
では将棋を行うことで期待できるリハビリ効果とはなにがあげられるでしょうか?
ここでは…
- 認知機能の向上・脳の活性化
- 注意力・集中力の向上
- 精神的健康・ストレス軽減
- 社会的スキル・コミュニケーション能力の向上
- 論理的思考力・柔軟な情報処理能力の向上
- 自制心・忍耐力の強化
- 楽しさ・意欲の向上
…について解説します。
認知機能の向上・脳の活性化
将棋を指す際には、現在の盤面を把握しながら次の一手を考え、相手の狙いや未来の展開を予測する必要があります。
このような思考過程では、前頭葉や海馬といった脳の重要な部位が活性化されることが分かっています。
特に、判断力・記憶力・注意力といった認知機能が総合的に刺激され、脳全体の機能がバランスよく鍛えられます。
認知症の予防や進行の遅延にも効果が期待されており、高齢者の非薬物的介入として注目されています。
また、将棋は楽しみながら継続できるため、生活の中に自然に取り入れやすい点も魅力です。
注意力・集中力の向上
将棋は局面が一手ごとに変化するため、常に盤面全体に注意を向ける必要があります。
小さな変化を見逃さない「注意力」と、長時間にわたって集中力を維持する「持続的集中力」の両方が求められます。
これらの能力は日常生活の中でも、たとえば料理や買い物、運転などの場面で大いに役立ちます。
認知症の初期症状に見られる「気が散りやすい」「ミスが多くなる」といった傾向にも、集中力訓練は有効とされています。
将棋を通じて楽しく集中力を高めることができる点は、リハビリプログラムにおいても評価されています。
精神的健康・ストレス軽減
将棋の勝負がもたらす適度な緊張感や達成感は、心に刺激を与え、やる気やモチベーションの向上につながります。
対局中の集中や興奮は、脳内でドーパミンやセロトニンといった快楽・安定系の神経伝達物質の分泌を促進します。
その結果、ストレスの軽減や気分転換につながり、うつ症状の予防や改善にも寄与すると考えられています。
また、勝敗を通じた成功体験や悔しさを次に活かす経験は、精神的なレジリエンスの強化にもつながります。
将棋は内面的な充実感を得られる活動として、心理的リハビリにも有用です。
社会的スキル・コミュニケーション能力の向上
将棋は基本的に対人で行うため、対局を通して自然な会話ややりとりが生まれます。
これにより、他者との関係構築や社会的交流の機会が増え、孤立感や社会的引きこもりの予防になります。
また、感想戦やアドバイスを通じて意見を伝える力や、相手の話を聞く傾聴スキルも養われます。
認知症や精神疾患を抱える方にとって、コミュニケーションの再訓練の場としても有効です。
将棋を媒介にすることで、抵抗感なく他者と関わることができる点が大きな利点です。
論理的思考力・柔軟な情報処理能力の向上
将棋は局面ごとに最善手を導くための思考が求められるため、自然と論理的に考える力が養われます。
また、相手の手によって状況が変化するため、情報を取捨選択し柔軟に対応する力も必要です。
これにより、状況に応じた判断力や切り替え力といった高次の認知機能も鍛えられます。
日常生活においても、問題解決能力や予測力、トラブル対応力といった実践的な力につながります。
将棋は複雑な情報処理を楽しく訓練できる優れた認知トレーニングツールといえます。
自制心・忍耐力の強化
将棋は短時間で結果が出るゲームではなく、じっくりと考えて一手一手を進める必要があります。
そのため、焦らずに考える「忍耐力」や、衝動的な行動を抑える「自制心」が自然と身についていきます。
特に高齢者や精神的に不安定な方にとっては、情緒の安定にもつながる重要な側面です。
また、負けた際に感情をコントロールし、次に活かすために振り返る力も養われます。
これらの経験は、日常生活のトラブル対応や人間関係の中でも活かせる力になります。
楽しさ・意欲の向上
将棋は純粋に「楽しい」と感じられる娯楽であり、それが心身の活力や生活意欲を高める源になります。
「好きだから続けられる」というモチベーションの維持は、リハビリの継続にとっても極めて重要です。
また、日々の練習や大会参加といった目標設定が、自己肯定感や成長実感を生み出すきっかけにもなります。
興味関心を中心としたアプローチは、本人主体のリハビリにおいて非常に効果的です。
将棋は楽しさと効果を両立できる、まさに理想的なリハビリツールといえるでしょう。


おすすめの無料で遊べる将棋ゲーム
無料で遊べる将棋ゲームは、初心者の学習から上級者の腕試しまで幅広く対応し、手軽に将棋の魅力を体験できる手段として人気を集めています。
ここでは…
- 将棋クエスト
- 将棋ウォーズ
- つぼ将棋
- きのあ将棋
- 将棋アプリ 将皇(しょうおう)
- 百鍛将棋
- AI将棋 ZERO
- lishogi.org
…についてそれぞれ解説します。
将棋クエスト
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対人戦はもちろん、AIとの対局や詰将棋問題もあり、初心者から上級者まで幅広いレベルに対応しています。
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持ち時間や駒落ちの設定も細かくでき、プレイスタイルに応じた柔軟な対局が可能です。
インターフェースもシンプルで使いやすく、スマホ一つで手軽に本格将棋を楽しみたい方におすすめのアプリです。
将棋ウォーズ
『将棋ウォーズ』は、日本将棋連盟公認のオンライン将棋アプリで、世界最大級の利用者数を誇ります。
1日3局まで無料でオンライン対局が可能で、初心者でも始めやすい設計となっています。
10分・3分・10秒将棋といった短時間ルールが中心で、スピーディーに対局を楽しめます。
AIによる指し手サポートや棋譜解析機能も備わっており、対局後の学習や振り返りにも最適です。
段級位やレーティングも自動管理され、楽しみながら実力を把握できる魅力的なコンテンツが充実しています。
つぼ将棋
『つぼ将棋』は、ブラウザ上で気軽にプレイできる初心者向けの無料将棋ゲームです。
アマチュア8級相当のAIとの対局が可能で、ちょっとした時間に将棋を楽しみたい方に最適です。
オンライン対戦機能や棋譜保存、観戦機能まで備え、無料とは思えない充実度を誇ります。
ルール解説や入門者向けコンテンツも豊富で、将棋を始めたばかりの方にも安心です。
シンプルな操作性と軽快な動作で、PCやスマホからすぐにアクセスして遊ぶことができます。
きのあ将棋
『きのあ将棋』は、初心者から上級者まで対応する多彩なAIとの対局を楽しめる無料ブラウザゲームです。
選べるAIキャラクターが個性的で、難易度や戦法に応じた対局練習が可能です。
詰将棋や定跡講座、将棋の遊び方ガイドも充実しており、学習要素も盛り込まれています。
スマートフォンやPCからのアクセスが簡単で、通信環境さえあればどこでもプレイできます。
軽快な操作性と豊富なコンテンツにより、日常の中に自然と将棋を取り入れやすい環境が整っています。
将棋アプリ 将皇(しょうおう)
『将皇』は、日本将棋連盟後援の将棋アプリで、初心者から実力者まで幅広く対応できる無料コンテンツを備えています。
AI対局のほか、詰将棋や「勝ち切れ将棋(途中局面から勝ちきる練習)」など、ユニークなモードが特徴です。
入門者向けのチュートリアルも充実しており、操作方法や駒の動かし方から丁寧に学べます。
対局後の棋譜確認も可能で、地道に実力をつけたいユーザーにとって非常に有用です。
アプリのデザインも落ち着いていて見やすく、集中して将棋に取り組める環境が整っています。
百鍛将棋
『百鍛将棋』は、初心者から上級者まで対応可能な無料アプリで、幅広いAIのレベル設定が魅力です。
14段階以上の強さを選べるため、目標を立てて少しずつ強くなる実感が得られます。
詰将棋やルール解説も充実しており、楽しみながら本格的に学べる設計です。
オンライン・オフライン対局が可能なため、通信状況に左右されずに遊べる点も評価されています。
アマチュア初段レベルを目指したい学習者にも非常に人気の高い学習用将棋アプリです。
AI将棋 ZERO
『AI将棋 ZERO』は、20段階のAIレベルから自由に選べる無料の将棋アプリです。
勝敗記録や勝率の自動保存機能があり、自分の棋力を客観的に把握しながら練習できます。
棋譜の保存や再生、AIによる解析機能もあるため、対局後の振り返りに適しています。
オフラインで利用できるので、外出先や通信制限のある環境でも快適に遊べます。
シンプルで洗練されたUIにより、ストレスなく快適に将棋の練習が可能です。
lishogi.org
『lishogi.org』は、登録不要・広告なし・完全無料で遊べるオープンソースのオンライン将棋サイトです。
ブラウザ上でプレイでき、世界中のプレイヤーやAIと簡単に対局を開始できます。
インターフェースはシンプルながら、観戦・チャット・棋譜保存などの機能がしっかり備わっています。
ライセンスがオープンであるため、教育目的や地域活動などにも安心して活用できます。
将棋のオープンな普及を目指す人々にとって、コミュニティベースの将棋環境として理想的なサービスです。


おすすめデジタル将棋ゲーム
スマートフォンやパソコンで気軽に楽しめるデジタル将棋アプリは、初心者から上級者まで幅広い層に対応し、学習・対戦・解析機能も充実しています。
ここでは…
- ぴよ将棋
- みんなの将棋
- AI対戦将棋、金沢将棋Liteなど
…について解説します。
ぴよ将棋
『ぴよ将棋』は、40段階のAIレベルを持つことで知られ、初心者からアマ六段レベルまで幅広い層が楽しめるアプリです。
入門者向けの講座やヒント機能があり、はじめて将棋を学ぶ方でもスムーズにルールや手筋を習得できます。
対局後には自動で棋譜解析が行われ、自分の良かった点や改善点を客観的に振り返ることが可能です。
また、かわいらしい「ぴよ」のキャラクターが登場し、視覚的にも親しみやすい雰囲気が魅力です。
将棋学習を楽しみながら継続したい方にとって、非常にバランスの取れた教育系アプリです。
将棋クエスト
『将棋クエスト』は、実力に応じて自動でマッチングされるオンライン対戦型の将棋アプリです。
特に注目されるのは、対人戦のほかに「1手詰め詰将棋」や「ついたて将棋」など、変則ルールが楽しめるモードがあることです。
「ついたて将棋」は相手の駒の位置が見えない設定となっており、推理力や柔軟な思考力が試されます。
短時間で対局が終了する形式も選べるため、スキマ時間にサクッと楽しみたい方にも向いています。
一味違った将棋体験をしたい方や、戦術の幅を広げたい中級者以上におすすめのアプリです。
みんなの将棋
『みんなの将棋』は、非常にシンプルでオーソドックスな将棋アプリでありながら、実に100段階のCPUレベルが用意されています。
これにより、自分の実力に応じた対局相手を選べるため、ストレスなく上達を目指すことができます。
ユーザーインターフェースも見やすく、操作も直感的で、老若男女問わず扱いやすい点が特徴です。
また、詰将棋や対局の保存・再生機能もあり、反復練習による学習にも適しています。
ベーシックな将棋体験を継続的に楽しみたい方にとって、長く愛用できるアプリといえるでしょう。
AI対戦将棋、金沢将棋Liteなど
『AI対戦将棋』や『金沢将棋Lite』なども、高性能なAIと幅広い難易度設定で人気を集めている将棋アプリです。
特に『金沢将棋Lite』はAIの強さが細かく調整でき、初心者から有段者まで対応できる柔軟性が魅力です。
対局だけでなく、詰将棋や定跡練習といったモードもあり、実戦力を総合的に鍛えることができます。
オフライン対局も可能で、通信環境に左右されずにプレイできる点も支持されています。
将棋の上達を真剣に目指す方にとっては、学習効果の高いツールとして役立つアプリ群といえます。


おすすめボード・アナログ系将棋ゲーム
駒を手で動かしながら楽しむアナログ系将棋ゲームは、シンプルで親しみやすい入門用からユニークなアレンジ将棋まで多彩に展開されています。
ここでは変則・派生将棋やカジュアル系将棋ゲームとして…
- どうぶつしょうぎ
- エクストリーム将棋
- かに将棋、ベクトル将棋、キングダム 盤上大戦など
- 机で将棋
…について解説します。
どうぶつしょうぎ
『どうぶつしょうぎ』は、3×4マスというコンパクトな盤と、動物をモチーフにした4種類の駒を使って遊ぶ将棋入門用のボードゲームです。
駒は「ライオン(王将)」「キリン(飛車)」「ゾウ(角行)」「ヒヨコ(歩兵)」で構成されており、動き方もシンプルに設計されています。
ルールは非常に簡単で、小さな子どもや将棋初心者でも直感的に理解でき、初めてのボードゲームとしても親しまれています。
見た目にもかわいらしく、親子や保育園、教育現場などでの使用例も多く、思考力やルール理解の導入教材として効果的です。
遊びながら自然に将棋の基本概念に触れられる点が評価され、将棋人口の裾野を広げるツールとして注目されています。
エクストリーム将棋
『エクストリーム将棋』は、カードを使って盤面や使用する駒の構成をランダムに決定する、新感覚のアレンジ将棋です。
毎回違う初期配置や駒の種類で対局が始まるため、通常の将棋にはないスリルと戦術性が楽しめます。
ルール自体は将棋をベースにしていますが、慣れているプレイヤーでも新鮮な気持ちで臨める点が魅力です。
短期決戦型の設計となっているため、テンポよく楽しめるのも特徴で、時間がないときにも手軽に遊べます。
自由な発想と柔軟な対応力が求められるため、創造的な思考を刺激するトレーニングにもつながります。
かに将棋、ベクトル将棋、キングダム 盤上大戦など
これらの将棋派生ゲームは、それぞれ独自の盤構成や駒の動き、テーマ性を持つアレンジ将棋です。
『かに将棋』は、すべての駒がカニで、横方向の動き中心というユニークなルールになっており、短時間での対戦が可能です。
『ベクトル将棋』では、各駒の動き方が矢印で明示されており、視覚的にわかりやすく、将棋の動きの概念を直感的に理解しやすい工夫がなされています。
『キングダム 盤上大戦』は人気漫画をモチーフにした将棋型ボードゲームで、キャラクターカードや特殊能力が加わることでドラマチックな展開が楽しめます。
これらのアレンジ将棋は、将棋の戦略性を土台にしながらも、新しい遊び方や世界観を提供してくれる点が魅力です。
机で将棋
『机で将棋』は、3×4マスの小さな盤上でカジュアルに将棋の要素を楽しめるアプリ形式のゲームです。
物理的な盤や駒がなくても、スマートフォンやタブレット上で手軽にプレイできるため、すきま時間にも適しています。
盤面が小さいため、短時間で対局が終わる設計になっており、初めて将棋に触れる人でも気軽に参加できます。
また、シンプルながらも王取りのルールや駒の動かし方は将棋の基本を踏襲しており、入門用教材としても活用可能です。
デジタルとアナログの中間のような位置づけで、将棋の楽しさをコンパクトに体験できるアプローチとして注目されています。

